商品説明
宗教
【内容紹介】
大震災。
地が人を押しつぶし、海が人を呑み込んだ。
そこには原発がある。
なぜ、津波の来る所に原発はあるのか? 本書は今、3.11東日本大震災をふたたび眼差して、人と社会の根源を問います。
生はどのように死を受け留めるか? 民主主義のいうところの平等はどのように実現できるか? 死者と生者の関係を、精神分析の“転移”現象になぞらえ、「感情の絆」の形を、震災十余年を経た<<社会の心のざわめき>>という視点から論じます。
宗教学者が「見えないもの」を語る時、何が聞こえるでしょう…。
災害の臨床社会考!
【目次】
序 幕 それは誰の声か--太陽を盗んだ男
第一幕 石巻 傾聴論--翻訳不可能性
日和山 津波に呑まれて
閖上 声を失う
第二幕 南相馬 死者論--謎めいた他者
六ケ所村 原発街道
南相馬 沢田研二コンサート
松川浦 忘れ去られた記憶
幕 間 秘密の小部屋--謎めいた他者の眼差しのもとで
靖国神社 英霊と花嫁人形
水戸 哀しみをかみしめる
青髭の小部屋 台本への終止符
パンドラの箱 蓋を開ける? 閉める?
ふれあい 躊躇いと恥じらい
青髯と夕鶴 開け閉じ自在の扉
幻滅 無力さを受け容れて
第三幕 双葉郡 戦後民主主義の行方--メドゥーサの瞳
双葉町と大熊町 白い土地
双葉町と富岡町 匿名の展示ナラティヴ
浪江町 姿なく漂う悲しみ
フクシマ からこんにちは
第四幕 いわき湯本 コトドワタシ論--想いを形にして伝える
いわき 内曲する境界線
鳥かごの中の鳥 かごの中を見つめる鳥
イザナキ・イザナミ 生者と死者の境界線
真実の声 それは愛の奥底に眠り
末法の世 裸族が服を着て
終 幕 生者の国で言葉を紡ぐ--どこにもいないあなたへ
【著者略歴】
1961年、水戸市に生まれる。
「見えないものを語ろう」とする癖(へき)が高じて宗教学者に。
東京大学大学院人文科学研究科宗教学専攻博士課程中退。
博士(文学)。
海外の大学の客員教授や客員研究員を歴任。
2024年現在、国際日本文化研究センター(京都)教授。
磯前プロジェクト室主宰。
著書に『近代日本の宗教言説とその系譜』〔岩波書店、 2003年〕、
『閾の思考』〔法政大学出版局、 2013年〕、
『ザ・タイガース: 世界はボクらを待っていた』〔集英社新書、 2013年〕、
『死者のざわめき』〔河出書房新社、 2015年〕、
『昭和・平成精神史』〔講談社、 2019年〕、
『公共宗教論から謎めいた他者論へ』〔春秋社、 2022年〕、
『石母田正』〔ミネルヴァ書房、 2023年〕、
『居場所のない旅をしよう』〔世界思想社、 2023年〕など。
外国語に翻訳された書物など多数。